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さつまいもエバンジェリストのブログ

さつまいもの魅力と可能性に惹かれた男が語ります

黙示 日本の農業について語る前に読もう

農業 書籍

真山仁氏、渾身の作だと思う。

日本の農業をとりまく、TPP・農薬・フードセキュリティ・遺伝子組み換え食品など様々な話題が満載で、日本の農業の未来の姿を考えさせられる内容です。

たぶん自由貿易や遺伝子組み換えについては、鎖国でもしない限り、世界の流れから避けられないことだし、そこにはフードセキュリティと農薬の問題も絡んできます。

農業・食料というのは、国家レベルでの戦略から個人の嗜好レベルまで幅広い事柄が影響するので、

物事を二極化して、対立構造で考えるのは愚行だよ。そもそも反対や否定からは何もうまれない 

 という文中の言葉にもあるとおり、柔軟により良い代替案や選択を日本国民全員で考えていく姿勢が求められているのではないかと感じました。

そういう意味で、本書ではどちらがどうという結論はなく、数多くの取材を通じて入手した日本の農業の問題を、小説という形でわかりやすく伝え、読者が考えるキッカケとなる本だと思います。

身近で切実な問題提起として必読だと思います。 

黙示 (新潮文庫)

黙示 (新潮文庫)

 

 

さつまいもスイーツをマルシェで販売中です

販売

今月からマルシェでいつものさつまいも青果に加えて、さつまいもスイーツの販売も行っています。
昨年末から表参道のカフェで働くシェフとコラボで何か作りたいと、打ち合わせを重ねた商品となっていますので、確かな仕上がりです。
※写真は試作中のものなので、実際の商品はもっと見栄えも良いです。

・さつまいものタルト
それぞれ、紅はるか、こがね人参、アヤムラサキを使っています。生地にもさつまいもを練り込んであり、さつまいも尽くしのタルトです。
https://www.instagram.com/p/BOjnTQrAyMD/

・さつまいもと林檎のパイ
相性抜群の林檎とさつまいもを使った餡をパイ生地で包みました。甘酸っぱい林檎とさつまいものホクッと感が最高です。
https://www.instagram.com/p/BOjnOs9AmHi/

・さつまいもマフィン
紅はるか、こがね人参、紅さつまを使っています。味はもちろん、色彩も楽しめます。
https://www.instagram.com/p/BOjnHOpgnAs/

 ・さつまいものショートブレッド
ショートブレッドとはイギリス発祥のビスケット。さつまいもを練り込んだしっとりとした食感と、ほんのり塩味がさつまいもの甘さを引き立たせています。
※写真がなくて申し訳ありません。

今週末(1月28日と29日)も交通会館マルシェに出店していますので、ぜひさつまいもカンパニーのブースにお立ち寄りください。
2月はマルシェ出店はお休みします。

品種情報を付与した農産物流通の仕組みを考える

IT さつまいもエバンジェリスト

下の写真はとあるスーパーで撮影したものです。
POPには「さつまいも」とだけ、さらに「天ぷら、ふかし芋、大学芋…」と書いてあります。よく見ると、箱には「紅はるか」と書いてあります。

さつまいもに詳しい人だとわかりますが、「紅はるか」は「天ぷら、大学芋」に適さない品種ですし、ふかし芋ではなく焼いものほうが美味しくいただけます。

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昨今、トマト、イチゴ、リンゴといった農産物は、スーパーなどでも品種名で売られていることが多いです。これらは単体の商品価値が高く、品種と産地、製法による差別化=ブランドで価格が大きく異なりますので、流通側も導入しやすいです。

一方、品種による違いが意識されておらず、価格に影響することが少ない農産物については、わざわざ品種による分別を流通側も導入するメリットがありません。

私は大学で育種を勉強していたこともあり、品種に特別こだわりがあります。
品種の特性が活かされていない販売方法には、以前からなんとかならないものかと思っていたところ、一年ぐらい前に有志の集まりに誘っていただき、そこで「品種情報を付与した農産物流通の仕組みを考える」ことをやっています。

idea.linkdata.org

この思想に基づいてサツマイモナビというアプリケーション(サービス)も、まだ未完成ですが公開しています。

まだまだこれからの取り組みです。農業や食に関わることは、雑多な情報が多く整理されていません。情報の流通を整理することだけでも意味があるのではないかと思っています。

干しいもの品種による違いを科学的なアプローチでせまる

科学

1月14日に開催された日本いも類研究会のさつまいも産業振興研究セミナーに参加してきました。
テーマは「干しいもの品種と科学を考える」ということで、干しいもに使用する品種による違いを科学的なアプローチで解明するという面白い内容でした。

ポイントとしていくつかまとめますと。

  1. 干しいもの課題は、原料芋の生産者による品質のばらつきが大きいのと、新しい品種の特性が把握できていないこと(需要に供給が追い付いていない)
  2. 消費者評価は、食感(軟らかさ)と味(甘さ、風味)の影響が大きい。見た目(色と形)はあまり大きな影響はない。
  3. 機械乾燥と天日乾燥では品質が異なる。具体的には、機械乾燥では色が明るく仕上がるが、風味が落ちる。風味のもとになる香気成分が天日干しのほうが多い。
  4. 貯蔵後の糖化速度に品種間の差がある。また品種ごとに糖の割合がことなるので、感じる甘さに違いが出る。

数値分析するには、糖度だけではなく、破断強度と水分含量も測ると良いみたいです。
水分含量は特にカビの生えやすさに影響し、衛生面でも考慮すべき点です。

さて、良い品質の干しいもを作るには、以下の項目が重要だということですが、

  1. デンプンの充実した良質な原料いもの栽培
  2. 収穫後に十分に糖化させてショ糖を増やす
  3. じっくり煮蒸して麦芽糖を増やす
  4. 適度な乾燥で固くなるのを防ぐ

書いてみると当たり前のことですね…
ただ、糖分が多いと水分を巻き込んで硬くなりにくいそうなので、やはり貯蔵および加工時の糖化が重要ということですね。

もちろんセミナーでは幸田商店さん提供による食べ比べもありました。
食べ比べてみると「いずみ」の風味と味の良さが際立っていました。今人気の紅はるかですが、何か物足りなさを感じます。

https://www.instagram.com/p/BPOoXxVgzcQ/

干しいもの本場茨城県では、紅はるかが6割近くを占めるようになってきているそうです。ただ、紅はるかは産地を選ばなかったり(どこでもそこそこ良い品質になる)、乾燥機の技術が上がっていることで、全国的に干しいもを作るところは増えていて、産地は分散化していきそうです。
ここ数年は需要>供給の状況が続きそうですが、生産量がある程度確保できる状態になったときに、どのように差別化していくかは、今のうちに考えておく必要があるなと感じています。

さつまいもと地域活性化の取り組みは考えることが多いです

地域

取り組んでいるプロジェクトの一環で、12月頭に訪問させてもらった生産者の方が新聞に取り上げられていました。
ちょうど視察時に取材が入ったので、記事上部の映像(11~14秒)を見ていただけると、左端で作業を真剣に見つめる私の姿が確認できます(^^♪

www.asahi.com

薪火でさつまいもを蒸してます。なかなか味のある風景です。

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2~3時間蒸した後です。
写真だと白っぽいですが、実際はもう少し黄色がかった色にふかしあがっています。この辺の時間は生産者によってかなり工程にかける時間が変わってます。なので、さつまいもの洗浄、皮剥き、蒸し、干しなどの工程を数値化できるところはしていきます。

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取り組んでいるプロジェクトは、「さつまいも」そのものが課題であるところもありますが、記事にもあるとおり、その他の課題も多岐に渡ります。
技術継承や産地維持といった守りの部分もありますし、雇用促進や耕作放棄地対策という攻めの部分もあります。
人・オペレーション・技術・販売・企画など総合知識産業であり、MBAで学んだ知識を活かす場だとつくづく思います。